借家につくと、豪勢な髪飾りをとり、髪を櫛でとかした。 黒く艶のある髪をとくたび、どこか聞こえる鈴の音。 懐かしさ、寂しさ、愛しさ。 色んな感情が胸を渦巻く。 愛音が愛音でなかった頃--愛音という名前を使う前の記憶がそうさせる。 襟で隠れている首飾りにした、壊れて錆びれた鈴。 着物の上からそっと優しく握る。