翌日、サラリスは宿屋の近くにあった歯科医院へと足を運んだ。 店の外にまでキュイーンと機械の音が響いている。 「……」 回れ右をして帰りたい衝動にかられたが、その度に奥歯がチクッとしてしまう。 転々と旅する身、体の異変は迅速に改善しておかなければ、いつどうなってしまうか分からない。 「くそぅ、しょうがねぇ……行くか」 アゴを押さえながら、サラリスは歯医者の扉を押し開けた。