「お兄ちゃんは旅行のお客さんかい?ここの下働きにはいない顔だものなぁ」 「ああ、まあそんなとこかな。しばらくこの国に滞在しているんだ」 「ほぅ」 老人は目を細めると、こくりと小さく頷いてみせる。 「なら、早いうちに出国しなさったほうがいい」 「え……それは、何故?」 「ここは、旅行で来るにはいささか具合の悪い国なのさ」