「ひな!」


そう声をかけられ、桜並木を通っていた私は振り返った。


「湯菜ちゃん。」


そこには親友の湯菜ちゃんがいた。


「可愛い子と桜って合うわ。」


「なんか言った?」


「…お約束のこの鈍感さ。
別になんも言ってないよ。」


「そう?」


湯菜ちゃんはとにかく美人さん!


茶色のウェーブのかかった髪に、バサバサのまつげのついた切れ目の二重。


美人の象徴だよ。


しかもお化粧ほとんどしてないんだよ。


おかしいよね。


不平等だよね。


「…ひな、いくよ」


「あ、待って」