3年前。
南中学に入学し、間も無い頃にあなたと出会った。
「大宮悠斗って知ってる?」
同じクラスになり、親しくなった高橋愛こと、タカちゃんと水品めぐみこと、めぐがキャーキャーはしゃぎながらあなたのことを話していた。
「誰それ」
「知らないの?理香子」
「信じられない!」
私が聞くと、タカちゃんとめぐは嬉しそうに大宮悠斗のことを話し始めた。
「1年6組。もうかっこいいのなんのって!!!すごい噂だよ」
「サッカーやってるんだけどすごく上手なの」
要するに学校の王子様。
最後にタカちゃんとめぐは声をそろえて言う。
「今度見つけたら教えて。見てみたい」
そんなかっこいい人、見てみたい。
この時の私は全然恋愛感情なんかじゃなくて、少女漫画に出てくる王子様みたいな彼に興味を抱いていただけだった。
*
「あの人!」
美術室から教室へ戻る途中タカちゃんが大宮悠斗なる人物に指を差す。
その先には色素の薄い髪に整った顔立ちをした男の子。
あ…王子様みたい。
心の中でつぶやいたはずだったのにめぐが反応する。
「王子様みたいでしょ。あーもうかっこいい!!!」

