ハルが、紫織を騙しているとは思えないが、温度差があると感じてしまうのはどうにもしようがなかった。納得がいかないまま、小さく頷く。紅茶はまだ半分以上残っていたけれど、少しでも早くこの屋敷を出て美緒や紗奈に会って安心したい。
酒に酔って、悪い夢を見たみたいだ。そんな風に言って、笑って、またいつものようにすぐに忘れてしまえればいい。
「お客さんは久しぶりなので、出来ればもう少し色々なお話を聞けたら嬉しかったんですけど」
「実は、今日はわたしの誕生日なの。会社の同僚や後輩達がわたしの誕生日パーティを開いてくれたんだ。31日が近いからって、ハロウィン仕様で。だから、この耳も…。いきなりいなくなったから、多分心配してると思うし早く帰らなくちゃ」
「そうだったんですね。おめでとうございます。それじゃあ、玄関までご案内します」
ハルがにこりと微笑んで、紫織の手をとる。
可愛らしい顔立ちだから、あまり男性らしさを感じてはいなかったけれど、そのスマートな仕草はとても紳士的で様になっている。職場に彼のような人間がいたら、さぞかし先輩のお姉様方から人気になるのだろうなあと思った。

