揺れて恋は美しく

歓迎、学園祭と、大きな文字が書かれた立て看板。
とある大学のキャンパス。
広大な敷地をもて余すように、所々に置かれた銅像は実に不気味である。
そんな銅像の一つに蹴りを入れる、小柄でショートヘアーの女性。

「えい!」

「おやめなさい」

ショートヘアーの女性の背後から、スラッとした細身の女性が諭す。

「こいつ、私を睨んだの」

「あなただけじゃありませんわ」

その銅像は凛々しく佇むものの、確かに目付きが悪かった。

「あっ! マコちゃんだ!」

二人の元に美沙が近づいて来る。

「玲美(れみ)ー、由依(ゆい)ー」

「おーす! マコちゃん」

合流した美沙が片手を上に上げると、それに対し背伸びをしてタッチを交わすショートヘアーの女性。

「お早う由依」

「おう!」

微笑む美沙は、今度は細身の女性にその笑みを向ける。

「お早う。玲美」

美沙の言葉に、玲美も笑みを溢してこたえる。

「お早うございます」

由依が美沙に抱き付く。

「ねぇねぇマコちゃん」

「なに?」

「そろそろリハーサルだよ」

「うん」

「行きましょう」

そして三人は校舎の方へと向かっていった。