程なくして、マンションからラフな格好の桐島が出て来る。
マンションの前で立ち止まったままポケットに手を突っ込み、一度空を見上げると辺りを見渡してとぼとぼと歩き始めた。
路地裏のような所を歩く桐島が十字路に差し掛かった所で、左手の方から犬の遠吠えが聞こえ、桐島は当然の如く遠吠えがした左の方へと十字路を曲がって行った。
軽やかに歩みを進めていた美沙は、ふと何かに気付き立ち止まると慌てた様子で鞄を漁りだし、そのままゆっくりと歩きだして、交差点で曲がって来た人とぶつかり尻餅をついた。
「きゃっ!」
「つぅ…」
ぶつかった相手は桐島。一瞬顔を歪めるが、直ぐ様尻餅をつく相手を気遣うように手を伸ばした。
「わるい。大丈夫?」
「いいえ、こちらこそ」
尻餅をつきながら桐島を見上げて申し訳なさそうに言う美沙に、桐島は目を丸くして咄嗟に伸ばした手を引っ込めた。
「え?」
自分に伸ばされた手が引っ込められた事に、美沙は思わずといった感じで言葉を発した後、自力で立ち上がり服を払って再び桐島を見た。
「あのぅ…」
「な、なに?」
「あなた、昨日の…」
目線を反らす桐島。
「だったら何?」
「やっぱり!」
嬉しそうに美沙は声を上げるが、目線を反らす桐島に直ぐ様表情を戻す。
「一応。昨日はありがとうございました」
「別に」
その言葉に曇る美沙の表情。
「そう。じゃあ、急ぎますので」
「ああ」
美沙は表情を曇らせたまま首を傾げて行ってしまった。
顔に手をやり暫し佇む桐島は、美沙が倒れていた場所に何かある事に気付き拾い上げる。
「御守り…」
マンションの前で立ち止まったままポケットに手を突っ込み、一度空を見上げると辺りを見渡してとぼとぼと歩き始めた。
路地裏のような所を歩く桐島が十字路に差し掛かった所で、左手の方から犬の遠吠えが聞こえ、桐島は当然の如く遠吠えがした左の方へと十字路を曲がって行った。
軽やかに歩みを進めていた美沙は、ふと何かに気付き立ち止まると慌てた様子で鞄を漁りだし、そのままゆっくりと歩きだして、交差点で曲がって来た人とぶつかり尻餅をついた。
「きゃっ!」
「つぅ…」
ぶつかった相手は桐島。一瞬顔を歪めるが、直ぐ様尻餅をつく相手を気遣うように手を伸ばした。
「わるい。大丈夫?」
「いいえ、こちらこそ」
尻餅をつきながら桐島を見上げて申し訳なさそうに言う美沙に、桐島は目を丸くして咄嗟に伸ばした手を引っ込めた。
「え?」
自分に伸ばされた手が引っ込められた事に、美沙は思わずといった感じで言葉を発した後、自力で立ち上がり服を払って再び桐島を見た。
「あのぅ…」
「な、なに?」
「あなた、昨日の…」
目線を反らす桐島。
「だったら何?」
「やっぱり!」
嬉しそうに美沙は声を上げるが、目線を反らす桐島に直ぐ様表情を戻す。
「一応。昨日はありがとうございました」
「別に」
その言葉に曇る美沙の表情。
「そう。じゃあ、急ぎますので」
「ああ」
美沙は表情を曇らせたまま首を傾げて行ってしまった。
顔に手をやり暫し佇む桐島は、美沙が倒れていた場所に何かある事に気付き拾い上げる。
「御守り…」
