揺れて恋は美しく

暗がりの部屋のソファーの上でノリノリに跳ねて踊りながら歌う由依に、ルカが冷たい視線を送る。

「なにが一曲だけだ? 既に一人で三曲目じゃねぇかよ」

玲美は手拍子をして身体を揺らし楽しんでいる。
由依の歌が終わり、ルカが待ってましたとマイクを構えて曲が流れると、由依はメニューを開いて玲美と一緒にそっちで盛り上がりだした。
自分の世界に入り込んでいるルカは演歌を気持ち良さそうに熱唱していて、そっぽ向く由依達の行動には気付いてないようであった。
そして、ルカの熱唱が終わると由依は大げさなまでの拍手をして称賛し、照れるように謙遜するルカに何か入るかと唐突に質問して、咄嗟の事に直ぐ様答えを出せなかったルカに何故か焼きそばを薦めた。

「えっ、焼きそば?」

「じゃあ注文するね」

「…何で焼きそば?」

由依は内線の電話を使い注文するが、頼んでいる時に何故かニヤリと不適に笑い注文を終えた。
暫くして、しっとりとした玲美の歌声が響くなか、注文の品を店員が持って入って来て並べ退室すると、程なく玲美の歌も終わり暗かった部屋を明るくした。

「なんじゃこりゃー!」

ルカの前に置かれた焼きそばの上には大量の青海苔と、大量の紅しょうがが散らばっていた。

「てめぇ! せめて紅しょうがは端に固めろや!」

大爆笑してソファーで転げ回る由依に、怒り心頭のルカが反撃に出る。
まず由依の足を捉えてうつ伏せにすると由依の腰の辺りに座って、捉えた足の靴下を脱がせたかと思うと、その靴下の中に玲美から受け取ったプリンを詰め込んで、嫌がる由依を無視し強引に履かせて解放した。

「ギャアーー!!」

不適切不衛生極まりない行為を、彼女らに代わり謝罪させて頂きます。どうもすみません。