何もない空間に赤があった。

 いや、嘗てはそこにあったのだ。それをこの赤い存在が消し去った。

 ――消した。
 ――その世界。十五の王。そして――

 ――を。


 赤い長髪を何もない空間に靡かせ、彼はただ虚ろになっていた。そこへ――

 何かが触れる。


 物憂げに意識を向けると、それは氷の球に封じられた翠の耳飾りだった。


 まだ、残っていたそれを慌てて掴み胸に抱くと彼は声の限りに叫んでいた。

 消えた――妹の名を。


 彼の力と妹の力が収束する。

 気が付けば彼の腕には、赤に変化した耳飾りをつけた少女が収まっていた。


 ――慈主神。そして後継者。
 その名を、彼は与えた。


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