余命の幸せ


あたまの中が、真っ白の中


シーンと空気が静まる中、

私は言った。

思ってたこと、すべてを。

「は?何言ってるんですか?

だって…だって…


私は、まだ14歳で。


それで…

海外留学もしてなくて、

高校も、いってない。



まゆとね、約束したんだ。



大きくなったら、


世界一周旅行つれていくって。


うそ…ですよね?


だって、こんなにピンピンしてるし。

お医者さんや、看護師さんや、

親だって…

みんな、ここまで生きてるんですよ?


なのに、


私はその半分も生きられないんですか?


うそは、やめてください。」

と。

まだ泣けなかった。


そしたら、医者が。

「これは、現実です。
とっても、残念ですが…
現実を受け止めてください。
お願いします。」


その瞬間…










私の中で何かが、こわれた。




こわれた瞬間…







一滴涙がこぼれた。





そしたら、次々と涙が


こぼれてきた。


ひたすら、泣いた。


泣いて、泣いて、泣いて、泣いた。


お父さんやお母さんも、泣いた。

人目すら、気にせず


病室で、たくさん泣いた。




そして、泣きながら


車へ乗り


家へ帰った。