29歳、独身、平日の午後。
本屋の参考書コーナーにあり。
隣には学ラン姿の青い香りにまみれた男の子が「大学受験!たったこれだけ!」を立ち読みしている。
私は今、目の前にある、「中学英語総まとめ!基礎を忘れたあなたに!」というタイトルのテキストに狙いを定めている。
さてはて。
どんな感じでそれを手にすべきか。
まさか中学生の子持ちには見えまい。
ふむ。
中学生の弟持ちという設定がベストな気がする。
14歳差の姉弟。
非常に珍しいパターンだ。
私は手を伸ばし「TOEIC900点は3ヶ月で目指せる!」を取る。
見栄っ張りは、自身の成長への妨げでしかない。
人目を異常に気にし始めたのは、いつからだろう。


