次の日も昨日と変わらず遅い帰宅となった。


時計を見ると針は9時10分を指している。
正確に言うと、昨日より20分遅めの帰宅。





昨日のトナカイくん、また会えるかなぁ……?





ふとそんなことを考える。


気づけば私は半ば無意識にトナカイくんの姿を探していた。






すると、


茶色のもふもふした毛なみに愛嬌ある可愛らしい顔。




………トナカイくんだ。






私はその姿の元へと足を早める。


今日のトナカイくんは小さな子供たち数人に囲まれて楽しそうにはしゃいでいた。





「トナカイさーん、お手てつなごー!」


「僕にキャンディーちょうだい!」





そんな子供たちにトナカイくんは楽しく、かつ丁寧に対応していく。


仕事だから相手しているって訳でなく、心から子供が好きなんだろうなあって思わせるような見事な対応ぶり。




そんなトナカイくんを私は少し離れた所から静かに見つめていた。