やっぱり…………



「だめっ!!もしかしたらケガしてるかもしれない!痛かったら我慢せずに冷やすか湿布……あ、血が出てたら大変だからこれ使って下さい!!」





私は早口でそう言うとスポーツバッグからドット柄のタオルを取り出してトナカイへ差し出す。


ケガのことになるとこんなに世話焼きになるのは、部のキャプテンとして部員の体調に気を配っていたからなのかもしれない。





トナカイは一瞬戸惑ったけど茶色のもふもふした手をゆっくりとタオルに伸ばした。



そしてありがとう、と言うように頭を何度か下げた後、私の頭を優しく撫でてくれた。






その瞬間、顔がかあっと火照る。



「い、いえいえ……!私ができることはこのくらいしかないから。じゃあお大事ね、トナカイくんっ」





私は軽く一礼しあわててその場から立ち去った。