近くにいた人も何事かとちらちらトナカイの方を見ていたけど、たいして気にした様子もなくその場を通り過ぎていく。




……あんなにキャンディーが散らばっているのに誰も助けようとしないの??





トナカイは独りで必死に散らばったキャンディーをかき集めていく。


そんな光景を目にし、いたたまれなくなった私は足早にトナカイの元へと駆け寄った。





「あ、あのっ……大丈夫ですか!?」



そう言いながら私も一緒にキャンディーを集める。




「私、さっきの光景見てて……。ケガとかしてないですか?」




するとトナカイはうん、と首を縦に動かした。





……でも待って。



着ぐるみを着た状態でケガしたかどうかなんて分かるはずがない。


しかも着ぐるみを着たら喋っちゃいけないのが基本。
もしかしたら痛いのを我慢してケガしてないって頷いてるだけかもしれない。