「……っぶねぇな!!邪魔なんだよ、てめえ!!」





唐突にそんな怒鳴り声が響く。


びっくりして声がする方へ体を向けると、金髪のいかにもヤンキーって感じの男が立っていた。


そしてその横には愛嬌ある顔をした可愛らしいトナカイが一匹。





「着ぐるみが道のど真ん中突っ立ってんじゃねぇよ! 俺は急いでんだよ!!」





男はどんっと力まかせにトナカイを押しのけた。





その瞬間、トナカイの体が大きく揺れる。

あ、と思った時にはトナカイは地面に思いきり転倒していた。



転倒した衝撃でトナカイがカゴに入れて持っていたキャンディーが辺り一面に飛び散る。




男はそんなトナカイに見向きもせずにずかずかとその場を後にした。