……クリスマスは家族と過ごすのがお決まりっていうのは嘘じゃない。
陸だって私の帰りを待っている。
ただ……あの場所にいたくなかった。
今日は皆と騒ぐ気になれなかった。
だって今日はー………
気づけば私は大通りの中心にいた。
流れるクリスマスソング、ツリー、リース、綺麗なライトアップ。
クリスマスと言うだけあって人は普段より断然多い。
幸せそうに手をつなぐ親子に肩を寄せ合うカップル。
ここは、あの日以来私が来るのを避けていた場所。
わざわざ遠回りしてでも来なかった場所。
……なのに今日来てしまった。
だって今日は、
「トナカイくんに会える最後の日……」
今日が終わったらきっと私はトナカイくんに会えないだろう。
今日が最後のチャンスだ。
本当は来るつもりなんてなかったのに。
でも心が無意識にこの場所へと私を引き寄せてしまったのだろう……。