次の日、悠里ちゃんは何度も頭を下げながら私に謝ってくれた。



悠里ちゃんは本当のことを、私が目を背けていたことをはっきりと言ってくれただけ。

彼女に悪気はなかった。




だから私は悠里ちゃんの謝罪を素直に受け入れることにした。






「せ、先輩………。あの私、応援してますから。……頑張ってください」





悠里ちゃんが申し訳なさそうに私を見る。





………けど。




「ううん、もういいの。応援しなくていいよ、ありがとね」





にこっと作り笑顔を浮かべる私。


すると悠里ちゃんはえ?と小さく首をかしげた。





「もう、いいの」





半分自分に言い聞かせるつもりで強い口調で言う。


悠里ちゃんは一回頷くとこれ以上は何も言わなかった。








「そーれっ!1、2、そこでアタック!」


「夏実ブロックして!」





それからの私は懸命に部活に励んだ。

朝練、放課後練、自主練と時間のある限りをバレーに費やした。





そうすれば、忘れることができるから。
トナカイくんのことを考えなくて済むから。





なのに私の頭からそトナカイくんが消えることはなかった。



それは時間が経つと共にどんどん色濃く根付いてくる。

忘れよう、と思えば思うほど私の頭はトナカイくんでいっぱいになる。





自分でもどうすればいいのか分からない。







そんな中、気づけば日は12月24日。


クリスマスイブだった。