ご飯を食べ終えた私は2階にある自分の部屋のベットに寝転がっていた。
「トナカイくん………か」
私は手のひらに一つだけ乗せたキャンディーを見つめながら呟く。
トナカイくんといると楽しいし幸せ。
それは本心だし事実。
けどー……それは着ぐるみを着たトナカイくんとふざけ合うのが楽しいだけなのかもしれない。
だって私、トナカイくんの顔も声も知らないから。
男か女か、おじさんかお兄さんかも分からない。
でも仮にトナカイくんの中身が女性だとして、私は本能的にあんなにドキドキするだろうか____?
やっぱりどんな人なのか気になる。
もしかしたら知って後悔することもあるかもしれないけど。
それでも私はちゃんと目を見て話して自分の気持ちを確かめたい。
いつか……ちゃんと聞かないと。
「あ〜あ、陸にはあんなこと言っちゃったけど私のところにもサンタさん来てほしいよ……」
子どもの願いを叶えてくれるサンタさん。
高校2年生を子どもっていうのは微妙なラインだけど、私の願いも叶えてほしい。
口に入れたキャンディーは甘いいちご味だった。