嘘っっ!!!!
あわてて口元に手をやると、口角が思った以上に上がっていてびっくりする。
「うわ、何でねーちゃん笑ってんの!? 気持ち悪っ!!」
「うっ…うるさいなぁ! あんたは黙ってなさい!!」
しっしっと手で払う仕草をすると陸は思いきり膨れっ面をした。
「そんなこと言ってると姉ちゃんにはサンタさん来ないんだからな!!」
「サンタさん…? 何でいきなりサンタさんが出てくんのよ」
首をかしげるとお母さんがふっと笑って答えた。
「陸ね、もう何日も前からサンタさんに何もらおうってお手紙書くの悩んでるのよ。
ほら、私が悪い子の所にサンタさんは来ないよって言うもんだから」
「そーそー! ねーちゃん、そんなことも知らないのっ?」
「…も、もうあんたって奴は……!」
陸、サンタさんの正体はね……と言いたくなったけど口をつむぐ。
小学3年生の夢を破壊するのはあまりに大人気ない。
それに知らなくてもいい事実だってあるものだ。
「そーだよ。姉ちゃんにはサンタさん来ないんだよっ!」
私はわざとひねくれたことを言ってぷいとそっぽを向いた。

