コイツは……本気で世那を気に入っている。


だってホラ、おんなじだ。


“いいと思った”と話す剣の目が、オレが世那を見ている時と、同じ目だ。


1年以上同じ高校に通っているけど、この男のこんな表情は見た事が無い。


そこには、誰もが恐れる最強のヤンキー、“冬の王”の面影なんて、全く無かった。


「ってなワケで………頭のいいお前なら、もう分かってるよな?」


呆然と柔らかい表情をしている剣を眺めていると、今度は挑戦的な瞳でオレを見返して来た。


ああ……分かるよ。


分かりたくないけど、分かっちまったよ。