吐き捨てる様に叫ぶと、秀悟ははよが掴んでいた私の右腕の二の腕部分を掴む。


「行くぞ、世那!」


「秀…悟っ!?」


そのまま凄い力で私を引っ張って、はよは私から慌てて離れた。


静帆も私の左腕を離し、ササササと道を開けた野次馬の間を突き進む秀悟と秀悟に連行される私の後を、はよと追いかける。


「ねぇ秀悟、アンタどうしてそんなイライラしてるの!?」


「…………」


私が問いかけても、秀悟からは何にも返って来なかった。


こ、これは、本格的に不機嫌だ……


10年以上一緒にいると、嫌でも相手の事が分かる様になる。