溺愛†マドンナ

剣君の低い声がもっと低くなった時はヤバイ時だって、緋ノ戸君と柿出君が言っていた事を思い出す。


8月と夏真っ盛りなのに冷や汗が流れてきた私は、咄嗟に頭を働かせた。


「つ、剣君、私喉乾いたから、ジュースでも……キャアアッ!?」


自販機にでも避難してどうにか身に迫っているらしい危機をスルーしようとしたら、グラリと傾く視界。


気がついたら今まで座っていたハズの原っぱに、押し倒されていた。


「ち、ちょっと剣君、何するの!?」


慌てて私に覆い被さって私の両手を原っぱに縫いつけている剣君に、抵抗の言葉を発した。