いつも世那がうちに来た時は徒歩5分の距離にも関わらず必ず送って行っているオレが1人で帰らせた事を不思議に思ったのか、苺が2階までやって来る。


髪はまだ濡れていて、世那が風邪を引かない様に気をつけろと言っていた理由が、分かった気がした。


「悪い苺……暫く1人にしてくんないか……」


「えっ?………分かった」


まだ小学生だけど兄の雰囲気が違う事を悟った苺は、大人しく出て行った。


力なくベッドに上半身だけ乗っけて目を閉じると、浮かんでくるのは真っ赤に染まった世那の顔。


だけどきっと世那は、分からないだろう。