何が起こったか分からない。


秀悟は戸惑う私に構う事無く、私を抱きしめる力を強めた。


「ちょっと……秀悟、苦しい……」


これもまた幼少の頃、泣いている私を秀悟が励ましの意味で抱きしめてくれた事があった。


だけどその時に比べると、秀悟の力は明らかに強くなっている。


苦しくて胸板を押すと、秀悟が私の耳元で囁いた。


「世那……オレと一緒にいろよ」


「え………?」


「アイツになんか、ぜってぇやらねぇから」


アイツ…?アイツって誰?


ボケーーッと秀悟の顔を見上げていると、ゆっくりと体を離される。