・・・莉子side・・・

お風呂からあがると外は入る前よりずっと寒くなっていた。

もう一度あの寒気が襲ってきたような気がしてブル、と小さく震える。

そうだ、何か飲み物をとりにいこう。キッチンへと向かった。

「……あ、莉子ちゃん。なにか飲みに来たの?」

キッチンには先客がいたようだ。飲み物…うん、ハルも?

「そ、俺も~。こんな天気でしょ?暖かい物飲みたいなーって」

そう言ってにへ、と笑う。コンロには湯気の出ているお鍋…ホットミルク?

「莉子ちゃんも飲む?ちょっと作り過ぎちゃったし…残しちゃうのももったいないでしょ?」

そっか…確かに残すのはよくないよね、ならお願いしようかな。

「おっけー。お砂糖いれちゃっていいかな?」

うん。いれてー…そう答えて外を見る。雨も風も強くなってきたな……

「ハイ、どーぞ。甘くておいしいよー」

私とハル、2つ分のマグカップがテーブルに並べられる。

ありがと、と言って一口飲む。甘くて暖かい。美味しい。

「…ねぇねぇ。莉子ちゃん。俺ちょっと話したい事があるんだけどさ…いいかな?」

ハルが話したい事…?珍しいね、何?

「うん…あのね。俺今回の旅行中に告白するんだ。」

真剣な表情のハル。ここで笑っちゃ駄目だ。ハルは真剣なんだから。

……ただ、私は耐えきれなかったようで。盛大に吹いてしまった。

「ちょっ!?ヒッド!?折角俺真面目に話したのにーっ!」

ゴ、ゴメ。ちょっと待って。今喋ったら(喋って無くてもだけど)笑い止まんなくなるから。

…2,3分たったかな。やっと落ち着いた。ハルは涙目でこっちを見ている。

とりあえずゴメンよ…っていうかハル好きな人いたんだね?

「そりゃ俺もね?ホントはずっと前から好きだったんだけど…で、莉子ちゃんに話したのは
ちょっと練習に付き合って欲しくって。」

練習……?あぁ、本告白の前に?

「うん…いきなりしてパニクッちゃったらダメじゃん?だから…」

成程…うん、それなら手伝うよ。

「ホントっ?!ありがとー…っ!ちょっと待ってね……」

深呼吸するハル。なんかこっちまで緊張しちゃうな……

「…いきなりこんな事言ってゴメンね。去年からずっと好きでした。」

そう一息に言った。自分に言われてるようで緊張してしまう。

「…どうかな?変じゃない?」

真摯な表情から一転。いつもの小動物みたいな表情へ戻るハル。

いいんじゃない?気持ち伝わるし。何より可愛かったよ?

「可愛いって言うなー!…でもありがとね。自信ついた。」

それは良かったよ。それじゃ、頑張ってね?

「うん!成功したら伝えるからさ。お休みなさい。」

お休み。成功するといいね…そんな話をしてハルと別れた。