・・・早苗side・・・

皆自分の部屋に帰ったかしら。…帰っててくれないと今からする事にとても都合が悪くなってしまう。

時間は大丈夫?…チラ、と時計を見る。

…呼びだした私が遅れる訳にも行かないわね。そろそろ行かないと。

カツ、カツと私の靴音が廊下に響く。ヘタしたら私は…アイツに、殺される。

深呼吸をひとつ。待ち合わせ場所は湖の近く。

なぜあそこを選んだのか…それは、何かあった時気付いてもらえる確率が一番高いから。

湖が見える部屋にいるのは右京、綾那、茜。この3人は割と遅くまで起きている。

…なにもないことを、祈るしかないわね。

湖についた時、アイツはまだ来ていなかった。

小さくため息がこぼれる。時間にルーズなのが悪い所だわ…

3分遅れてアイツがきた。一応急いだのだろう、息が切れている。

「夜にこんなとこに呼びだして……」

相手がなんのようだ、と問う前に口を開く。

ハルと正宗の事…聞きたいの。

相手の空気が微妙に変わる。だがしかし不思議そうな表情は崩れない。

「あの2人のこと……?」

…そうよ、あの2人。簡潔に言うわ。…貴方じゃないかしら?

もちろん、この意味が分かるわよね?

…そう言うとアイツはうつむいた。顔を上げようとはしない。

白を切るつもりなら…少し聞いて欲しい事があるの、私なりに推理してみたんだけどね…

横眼であいつを見る。顔を上げる気配はない。

ハルと正宗について話す。朝食の時に詳しく行ったけど、もう少し詳しく。

…簡潔に私の敗因を言うとするならば、アイツに背を向けてしまった事だろう。

半分ぐらい話した所でふいに、

「もういい…その先は、知ってるから。」

一瞬何が起ったか分からなかった。

胸から…コレは何、ナイフの…切っ先?

ソレだと分かった瞬間、痛みが走る。力が抜けて…へたりこんでしまった。

「…もっと遅くても良かったけど、少し分かり過ぎちゃったね。」

アイツがクスクス笑っている。

痛みの中薄れる意識で、それだけは分かった。

「…彼女を…少年少女…8人…」

…少年少女って誰のことだろ、8人…私達……?

気になったけどもうダメだったみたい。 最後まで聞けず、世界は暗転した。


8人の彼女の事が好きな少年少女がいました。
 1人が旅をしていてそこに残って7人になりました。