春雷の街中は、陸が戻ってきたことと愛梨が目覚めたことを盛大に祝う空気で満ち溢れていた。

「――外、凄いみたいだね。お祭り騒ぎじゃない」

晴海は賢夜の病室で、夕夏と共にその報道映像を眺めていた。

「それだけ周さんが住民に愛されてるってことか」

「うん…そうだね」

愛梨が目を覚ましたことは、昨日病院の受付で風弓の入院手続きをしている際に、邸からの使者から知らされた。

一緒だった悠梨はそれを聞くや否や、急いで邸に戻っていった。

すぐ戻る、と言い残していった悠梨だが、結局病院まで迎えに来てくれたのは京だった。

邸に戻ると陸が嬉しそうに出迎えてくれて、目覚めた愛梨が自分に逢いたがっていると教えてくれた。

「噂は前から聞いてたけど、愛梨さんって女の目から見ても綺麗な人だよね。あれで陸くらいの歳の息子がいるなんて、信じられないくらい」

画面に映し出されたその愛梨の姿を見て、夕夏が嘆息する。

「本当。凄く、綺麗な人…」

「そういや晴海はもう愛梨さんと直接逢ったんだっけ」

「うん…昨日ね、忙しくなる前にって」

相手の強い希望もあって、晴海は目覚めたばかりの愛梨と昨夜のうちに初対面を果たしていた。



「――…貴女が、晴海ちゃんね」

そう言ってこちらを見つめる眼差しが、とても印象的だった。