詰問する京の言葉に美月はずっと俯いたままだったが、観念したようにふと顔を上げた。
「…そう、ですわ。四年前、陸様が月虹の使者に捕まり易いように仕組んだのは私。戻られた陸様をまたすぐに連れ戻させようと、一緒にいた小娘を囮に使うことを向こうに提言したのも私」
「美月…お前がどうして、そんな馬鹿げたこと…っ」
幼い頃から少し刺のある物言いをする美月だったが、周は孤児という彼女の生い立ち故に仕方ないと思っていた。
それでも本気で周に逆らうようなことはしなかったし、仕事はそつなくこなしてくれた。
だが、信じていたのは自分だけでずっと欺かれていたのか。
すると美月は、漸く周の顔を振り向いた。
「…周様。私は先代様に拾って頂いたあの頃から、貴方様をずっとお慕いしております」
「!!」
不意に美月の口から告げられた言葉に、周はぎくりとした。
「でも、貴方様と孤児の私とでは到底身分違い…私はお傍にいられるだけで幸せだと思い、日々を過ごしておりました」
美月は自嘲するように、薄笑いを浮かべながら言葉を紡ぐ。
「けれど周様の縁談が決まって、先妻の都様が嫁いで来られたとき私の心は嫉妬に狂った。あの方が周様との御子を身籠ったと聞いたとき、妬ましくて仕方なかった…!生まれた御子でさえ疎ましかったっ…!!」
京と陸は顔を顰めたまま、美月の一挙手一投足をじっと見つめている。
「だから都様が亡くなったときはこれで周様が誰のものでもなくなったと…心の底から安堵しましたわ。どうせだったらその御子も、一緒に死んでしまえば良かったのに」
「っ!」
陸が反射的にびくんと身動ぎしたが、京はそれを諌めるように弟の利き腕を掴んだ。
だが京の手も、怒りを必死に抑えるように震えていた。
「…そう、ですわ。四年前、陸様が月虹の使者に捕まり易いように仕組んだのは私。戻られた陸様をまたすぐに連れ戻させようと、一緒にいた小娘を囮に使うことを向こうに提言したのも私」
「美月…お前がどうして、そんな馬鹿げたこと…っ」
幼い頃から少し刺のある物言いをする美月だったが、周は孤児という彼女の生い立ち故に仕方ないと思っていた。
それでも本気で周に逆らうようなことはしなかったし、仕事はそつなくこなしてくれた。
だが、信じていたのは自分だけでずっと欺かれていたのか。
すると美月は、漸く周の顔を振り向いた。
「…周様。私は先代様に拾って頂いたあの頃から、貴方様をずっとお慕いしております」
「!!」
不意に美月の口から告げられた言葉に、周はぎくりとした。
「でも、貴方様と孤児の私とでは到底身分違い…私はお傍にいられるだけで幸せだと思い、日々を過ごしておりました」
美月は自嘲するように、薄笑いを浮かべながら言葉を紡ぐ。
「けれど周様の縁談が決まって、先妻の都様が嫁いで来られたとき私の心は嫉妬に狂った。あの方が周様との御子を身籠ったと聞いたとき、妬ましくて仕方なかった…!生まれた御子でさえ疎ましかったっ…!!」
京と陸は顔を顰めたまま、美月の一挙手一投足をじっと見つめている。
「だから都様が亡くなったときはこれで周様が誰のものでもなくなったと…心の底から安堵しましたわ。どうせだったらその御子も、一緒に死んでしまえば良かったのに」
「っ!」
陸が反射的にびくんと身動ぎしたが、京はそれを諌めるように弟の利き腕を掴んだ。
だが京の手も、怒りを必死に抑えるように震えていた。


