いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「おお、どした?」

息を切らせて飛び込んできた使用人に、周は首を傾げて笑い掛ける。

「奥様がっ、愛梨様が…お目覚めになりました!!」

しかしそれを耳にした瞬間表情を一辺させると、椅子から勢い良く立ち上がった。

「愛梨…!!」

そして小さく呟くと、形振(なりふ)り構わず走り出した。

「旦那様!」

美月が呼び止める声がした気がするが、立ち止まることは出来なかった。

廊下に出ると、擦れ違い様に何度も使用人らと衝突し掛けてしまった――後で謝らないと。

しかし愛梨の部屋までの距離が、今日はやけに長く感じる。

早く、一秒でも早く愛梨の元へ行きたいのに。

「――京、陸!」

愛梨の部屋の前に出迎えていた、二人の息子に声を掛ける。

「お前たち、愛梨はっ…」

「今は悠梨さんが傍にいるよ。父さん、先越されちゃったね」

「母さん、父さんのこと呼んでたよ。早く顔、見せてあげて」

息を切らせて尋ねる周の姿に京がくすりと笑みを浮かべると、陸も嬉しそうに満面の笑顔を見せた。

「だけど」