いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「――旦那様、只今戻りました」

晴海と風弓が悠梨に付き添われて病院へ向かったのと入れ違いに、美月が出先から帰ってきた。

「ん、お疲れさん美月。陽司の奴、元気だったか?」

「はい、相変わらずでしたわ。人の心配よりも自分の心配をすべきだと思いますけれど」

「そう言ってやるなよ、あいつはお前の兄貴みたいなもんだろ」

「あんな兄を持った覚えはありませんわ」

苦笑する周をつっけんどんな態度で突き放しながら、美月は手にした書類を揃えて机の上に並べた。

「先程、正門の辺りで鈴代さんを見掛けましたわ。あの方、また戻ってらしたんですのね」

「ああ。もうそろそろ落ち着いて欲しいんだけどな」

すると美月は、持参した資料を整理しながら小さく溜め息を漏らした。

「…京様はまだお戻りにならないんですの?やはりお一人で敵方に乗り込まれるだなんて、お止めになったほうが良かったのでは…」

「いや?京はもう戻ってきてるよ。今は陸と一緒に、愛梨のところに行ってる」

「!陸様もご一緒に、戻られたんですの!?」

美月が珍しく声を荒げたため、周は面食らって眼を瞬いた。

「美月?」

「い…いえ、申し訳ありませんわ。突然大声を上げてしまって」

「いや、いいけど…美月、お前さ」

――そのとき、突如使用人の女性が慌てた様子で駆け込んできた。

「旦那様、旦那様!」