「――旦那様、只今戻りました」
晴海と風弓が悠梨に付き添われて病院へ向かったのと入れ違いに、美月が出先から帰ってきた。
「ん、お疲れさん美月。陽司の奴、元気だったか?」
「はい、相変わらずでしたわ。人の心配よりも自分の心配をすべきだと思いますけれど」
「そう言ってやるなよ、あいつはお前の兄貴みたいなもんだろ」
「あんな兄を持った覚えはありませんわ」
苦笑する周をつっけんどんな態度で突き放しながら、美月は手にした書類を揃えて机の上に並べた。
「先程、正門の辺りで鈴代さんを見掛けましたわ。あの方、また戻ってらしたんですのね」
「ああ。もうそろそろ落ち着いて欲しいんだけどな」
すると美月は、持参した資料を整理しながら小さく溜め息を漏らした。
「…京様はまだお戻りにならないんですの?やはりお一人で敵方に乗り込まれるだなんて、お止めになったほうが良かったのでは…」
「いや?京はもう戻ってきてるよ。今は陸と一緒に、愛梨のところに行ってる」
「!陸様もご一緒に、戻られたんですの!?」
美月が珍しく声を荒げたため、周は面食らって眼を瞬いた。
「美月?」
「い…いえ、申し訳ありませんわ。突然大声を上げてしまって」
「いや、いいけど…美月、お前さ」
――そのとき、突如使用人の女性が慌てた様子で駆け込んできた。
「旦那様、旦那様!」
晴海と風弓が悠梨に付き添われて病院へ向かったのと入れ違いに、美月が出先から帰ってきた。
「ん、お疲れさん美月。陽司の奴、元気だったか?」
「はい、相変わらずでしたわ。人の心配よりも自分の心配をすべきだと思いますけれど」
「そう言ってやるなよ、あいつはお前の兄貴みたいなもんだろ」
「あんな兄を持った覚えはありませんわ」
苦笑する周をつっけんどんな態度で突き放しながら、美月は手にした書類を揃えて机の上に並べた。
「先程、正門の辺りで鈴代さんを見掛けましたわ。あの方、また戻ってらしたんですのね」
「ああ。もうそろそろ落ち着いて欲しいんだけどな」
すると美月は、持参した資料を整理しながら小さく溜め息を漏らした。
「…京様はまだお戻りにならないんですの?やはりお一人で敵方に乗り込まれるだなんて、お止めになったほうが良かったのでは…」
「いや?京はもう戻ってきてるよ。今は陸と一緒に、愛梨のところに行ってる」
「!陸様もご一緒に、戻られたんですの!?」
美月が珍しく声を荒げたため、周は面食らって眼を瞬いた。
「美月?」
「い…いえ、申し訳ありませんわ。突然大声を上げてしまって」
「いや、いいけど…美月、お前さ」
――そのとき、突如使用人の女性が慌てた様子で駆け込んできた。
「旦那様、旦那様!」


