「――お兄ちゃん…何処か、行くの…?」

「ああ、陸。勉強見てやる予定だったのに…ごめんな?これから急に、出掛けなきゃならなくなっちゃったんだ」

「!父さんの仕事について行くの?じゃあ俺も一緒に行く!」

「陸は留守番。昨日の勉強で解らなかったとこ、ちゃんと復習しておくんだよ」

「何で…?俺だって、父さんの手伝いくらい出来るよ!なのに何でいつもいつも、お兄ちゃんは良くて俺は駄目なの!?」

「僕が父さんの補佐を始めた歳が早過ぎなんだよ。十六歳でまずは一人前って言っても、それでもまだ早いくらいだし…陸はこんなことしなくてもいいよ」

「………嘘だ」

「陸?」

「お兄ちゃん…本当は俺のこと、邪魔なんだろ……」

「急にどうしたんだ?邪魔だなんて思ってないよ」

「――何だ京、やけに準備が遅いな…って、どうした陸」

「父さん」

「だっていつも俺には何もさせてくれないじゃないか!父さんの手伝いも、霊力の使い方も、父さんがやってもいいって言ったことですらお兄ちゃんは止めるじゃないか…!邪魔じゃないんだったら、何でだよっ!!」

「それは…」

「俺の出来が悪いから?俺のこと嫌いだからっ?俺が半分しか血の繋がってない弟だから?!」

「止めろ、陸。兄ちゃんはお前のことを想って色々考えてんだぞ」

「違うよ…!俺のことが嫌いで邪魔だから、父さんから俺を遠ざけたいんだろっ!!」

「陸…!何言ってるんだ、京がそんなこと思ってる訳ないだろ!?」