ああ――そうか。

色素の薄さに端正な顔立ち、それから風の能力。

纏う雰囲気に陸と似たものを感じたのは、そのためか。

「本当、とってもいい場面で出て来てくれたよね」

ふと陸の後方から、京が少しよろめきながら現れる。

「京さん!」

「ふらついてんぞ、お前。大丈夫か」

真顔の悠梨にそう問い掛けられ、京は頷くといつものようにふわりと笑顔を浮かべた。

「悠梨さんったら来るのが遅いんだもの」

「そう言うけどなあ、お前たちが何処にいるのか全っ然気配が掴めなくて見付けるのにすっげー苦労したんだぞ?ちゃんと間に合っただけ有難いと思え」

おっさんはもっと労れよ、とぼやきながら悠梨はまた首や肩の筋を伸ばした。

「…じゃあ京さんたちは最初から、別々に月虹へ潜入する予定だったんですか?」

「説明してなくてごめんね、晴海ちゃん…ちょっとあることを確かめるために、悠梨さんが来ることは父さんにも伏せてたんだ」

――あること?

「いえっ、いいんです。ただ、驚きはしましたけど…」

悠梨が不意を突く形で現れてくれたからこそ、あの状況から助かったのだろうし。

「それに、悠梨さんは相変わらずなかなか捕まらなくてさ。連絡がついたのも潜入直前だったんだ」

「え…伯父さん、まだ放浪癖治ってないの」