行くって、何処へ――と問うよりも早く、男は晴海と風弓の身体を軽々とそれぞれ片腕で抱え上げた。

「ひゃっ?!」

「うわ…っ」

「京!こっちはいいぞ、先に行け!」

男性がそう声を掛けた瞬間、京は頷いて陸の腕を掴むと白い光と旋風を巻き起こした。

「えっ…」

「逃がすな香也、追え!!」

だが香也が追い付くより早く、二人の姿が風の向こうに掻き消える。

それを見届けたかのように、遅れて自分たちの周囲にも風が舞い上がった。

「!!」

薄暮に来たときと同様、周囲の景色が吹き飛んでゆく――

如月が何か叫んでいる姿も声も、香也が放った攻撃も、全て風に巻き取られて掻き消えていった。





深層の心理と真意 終.