いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「この小娘っ…言わせておけば架々見様になんて口を!」

「構うことはない、如月。娘は多少ましかと思ったが所詮は双子…過ごした環境が少々違(たが)っても、根元は同じということだ」

「て、めえっ…」

「くく…はははっ!私が何かそんな癪に障るようなことでも言ったか?似た者姉弟だと褒めてやっただけだぞ?ははははっ!!」

今まで見てきた、月虹に洗脳された能力者たちは――皆この男と同じだ。

まるだ彼らは、この架々見の歪んだ思想や狂気を、そのまま植え付けられたかのようだった。

彼らに洗脳を施す際、根底とされた思考は明らかにこの男のものだろう。

(この人は、どうして……っこんなに…)

架々見は一頻り愉快そうに笑い続けてから、漸く笑いを噛み殺すと不意に陸と京の二人へと視線を流した。

「さて、陸…お前はこの双子をどうして欲しい?」

二人は揃って架々見を真っ直ぐに見据えていたが、陸はその一言にびくりと身を震わせた。

「この双子はお前が、己を犠牲にしてまで守ろうとしていた二人だ…さぞかしお前にとっては大事な存在だろうな」

「やめて、陸に何を…、っ…!?」

次の瞬間、目の前に翳された架々見の掌から漆黒な闇が煙のようにどろどろと溢れ出して、晴海と風弓の周囲を覆い囲んだ。

能力者だ――それも、底の知れないような暗い闇の――

「兄の命と引き換えだ、陸。この双子を死なせたくなければ、私の目の前で兄を殺して見せろ」

「な……、…っ!!」

架々見がそう言い放った瞬間、陸は驚愕の余り悲鳴のような声を上げた。