いとしいこどもたちに祝福を【後編】

如月の言葉を受けて、再び陸は敵意を込めた視線を京に向けた。

「…!!」

「今のは危なかったよ、また騙されるところだった」

陸はくすりと笑顔を浮かべて、京の首に手を掛け直した。

「り、くっ……」

「お兄ちゃんなんか嫌いだ。大っ嫌いだ――だから、いなくなっちゃえばいいんだ!!」

っどうして――

次の瞬間、晴海は風弓の制止を振り切って陸の元へ駆け寄ると、陸が反応するより先に思い切りその頬を平手打ちした。

「っつ…!!」

陸は叩かれた弾みで両手を京の首から放すと、呆然とした様子で眼を丸くした。

そしてゆっくりと、叩かれた頬に手を添えた。

「陸っ…陸の、ばかっ…!!」

陸の頬を打った右の掌が、じんじんと激しく疼く。

「はっ…はぁっ…はるみ、ちゃん…っ」

首筋を解放された京が、激しく咳き込みながら晴海と陸に視線を巡らす。

「………は、る?」

陸は今しがた初めて晴海の姿を見付けたかのように、不思議そうに眼を瞬いてこちらを見つめた。

「どうして、京さんの言葉を聞こうとしないの…?どうして自分の気持ちに嘘をつくの…っあんなのが、陸の本当の気持ちだなんて思えないよ!!」