いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「がはっ…!」

横殴りに蹴り飛ばされ床に倒れ込んだ京に、陸は歩み寄るとその傍に膝を着いて微笑んだ。

「痛かった?ごめんね、お兄ちゃん」

「っ……りく…」

陸は身を起こし掛けた京に覆い被さると、ゆっくりと両手を兄の首筋に添えた。

「すぐ楽にしてあげるから、ね?」

「い、やっ…!!」

陸の姿と、賢也の首に手を掛けた慶夜の姿が重なる。

「やめて陸っ!京さんは陸のことを嫌ってなんかない!!陸のことを四年間、ずっと必死に捜してたんだよっ!!」

哀願するようにそう叫んだが、陸は意にも介さずにくすくすと笑うだけだった。

「…そうやって人を騙すのが巧いね、お兄ちゃん」

そのまま京の首に掛けた掌へ、ぎしりと力を込める。

「だから俺も、小さい頃はお兄ちゃんのことを馬鹿みたいに信じて疑わなかったよ」

自嘲げに笑う陸に、京は弱々しく首を振った。

「り…く、僕は……お前が生まれる、のを…楽しみにしてたんだ…っ」

「嘘だ!だったら、何であのとき否定しなかったんだよ?!何であのとき怒ったんだよっ!!自分の痛いところを突かれたからだろ!?」

すると陸は激昂して言葉を捲し立てながら、更に掌へ掛ける力を強めた。

「あの、ときっ……」