いとしいこどもたちに祝福を【後編】

その言葉に、京は苦しげに顔を顰めて俯いた。

「やめてっ…!陸に酷いこと言わせて、京さんを傷付けないで!!」

思わず如月を睨み付けて声を張り上げると、如月は苦笑いを浮かべて肩を竦めた。

「言わせてる…?心外だな。まるで私が用意した台詞を言うよう、指示したかのような口振りだ」

「そんなのっ…」

「その子が言ったのは、彼自身が心の奥底に隠して溜め込んでいた言葉だよ。我々はそれを素直に、口に出せるよう手伝ってやっただけのこと」

「嘘…!陸があんなこと思ってる訳ないっ…」

すると、不意に腕を引かれて振り向くと風弓が下を向いたまま激しくかぶりを振った。

「如月の言ったことは本当なんだ、姉ちゃんっ…!俺は心の何処かで親父が殺されたのは陸のせいだと逆恨みしてた…っだから洗脳されて炎夏に向かったとき、その気持ちを陸にぶつけてあいつを傷付けちまった…!」

「…!!」

「その上、あいつが止めてくれなかったら、見境をなくしてた俺は姉ちゃんを…っ」

風弓は懺悔をするように、晴海の腕に縋り付いた。

「――ずっと疎ましかったんだ、お兄ちゃんのこと」

片膝を着いた京の目の前まで歩み寄ると、陸は見下すように兄の姿を眺めた。

「…いつも俺のことを心配してる振りして、俺を父さんから遠避けてたよね」

「違う…」

「だって、お兄ちゃんは昔から父さんの仕事を手伝ってるのに、俺には絶対にさせなかったじゃない」

「それはっ」