「くそ…っ陸が姉ちゃんのことまで巻き込みかけるなんて…!あいつは、本気で…っ」

風弓が愕然と呟いている間にも、香也と陸は強力な魔法を矢継ぎ早に放ち続ける。

「くっくっ…流石に霊奈の嫡男も大したことはないな。二人が多少本気で掛かればこの程度か」

勝ち誇った表情で如月がそう呟いた瞬間、その周囲に旋風が巻き上がった。

「なっ!」

「退いてろ如月」

香也がそう告げて陸に目配せすると、二人は同時に風を凪ぎ払うようにぐるんと腕を振った。

それに合わせて起こった衝撃波が、旋風を吹き飛ばす。

強烈な衝撃波の余波は、旋風が消え去った後も暫くびりびりと空気を揺らしていた。

「上か」

香也はふと顔を上げると、氷の刃を次々と頭上目掛けて撃ち込んだ。

すると、いつの間にか二人の頭上まで跳んでいた京の掌から真っ赤な焔の渦が上がり、氷の刃を蒸発させる。

「悪いけど、君は大人しくしてて貰えるかな。僕が用があるのは弟だけなんでね」

着地と同時に京は風を放って香也を圧し飛ばす。

「くっ…結界を張る気か?させるかよっ」

香也は受け身を取りつつ、京目掛けて光弾を発射した。

京が身構えると、陸が同時に掌から火焔の塊を撃ち出しながら兄に囁いた。

「おにい、ちゃん」