京は咄嗟に、晴海と風弓を守るように二人の肩に両手を伸ばした。

「京さん、これはっ…」

「随分大掛かりな転移魔法だね。こんなことが出来るのは…例の魔導師くんの仕業、かな」

(香也…?)

景色が入れ替わり終えると、三人は風弓のいた狭い部屋ではなく広々とした空間に運ばれていた。

「此処は能力者同士の力量を測るための演習場です、此処ならば十分にこの子らの力をお見せ出来るでしょう」

如月の声が、彼方から発せられて室内に反響する。

その姿を眼で追うと、如月の両隣にはいつの間にか二人の人物が立っていた。

「――…っ!」

風弓が何かを訴えるように京の顔を振り仰いだが、京は押し黙ったままじっと前を見据えた。

「我が月虹が誇る、最強の能力者二人の実力…貴方様にはその身を以て思い知って頂きましょう」

「…成程、ね。そう来たか」

京はそう小さく呟くと、ゆっくり立ち上がって身構えた。

「さあ香也、陸――お客様にご挨拶だ」





暗中に浮かぶ導(しるべ) 終.