「!」
不意に第三者の声が割って入ったかと思うと、部屋の出入口らしき扉の前に、白衣を纏った女の姿があった。
「侵入者を発見したかと思えば…これはこれは、かの高名な春雷の若君に才臥博士の愛娘ですか」
女は笑みを浮かべながら、京と晴海の姿に視線を巡らせる。
「貴女、は」
「おや…私を覚えていませんか?まあいい、私は如月。この施設の所長を務めている者です」
如月――確かに、朧げだがこの人物と何処かで逢ったことがあるような――
「姉ちゃん…こいつが親父を月虹に引き入れた張本人だ」
「…!!」
そうだ、思い出した。
六年程前、まだ父と風弓と一緒に家族四人で秋雨で暮らしていたある日、父に珍しく患者以外の来客があった。
あのとき父を訪ねてきたのは、この如月だ。
「貴女が、父さんを…」
「才臥博士とは昔の誼があってね。元々優秀な男だとは承知していたが、予想以上の働きをしてくれた。それだけに彼の裏切りは心底残念だったよ」
「うるせえ…っ親父が月虹に協力せざるを得ないよう仕向けたのはお前だろうが!」
「…!」
やはり父は、自分の意志で月虹に協力した訳ではないんだ。
だったら何故――
不意に第三者の声が割って入ったかと思うと、部屋の出入口らしき扉の前に、白衣を纏った女の姿があった。
「侵入者を発見したかと思えば…これはこれは、かの高名な春雷の若君に才臥博士の愛娘ですか」
女は笑みを浮かべながら、京と晴海の姿に視線を巡らせる。
「貴女、は」
「おや…私を覚えていませんか?まあいい、私は如月。この施設の所長を務めている者です」
如月――確かに、朧げだがこの人物と何処かで逢ったことがあるような――
「姉ちゃん…こいつが親父を月虹に引き入れた張本人だ」
「…!!」
そうだ、思い出した。
六年程前、まだ父と風弓と一緒に家族四人で秋雨で暮らしていたある日、父に珍しく患者以外の来客があった。
あのとき父を訪ねてきたのは、この如月だ。
「貴女が、父さんを…」
「才臥博士とは昔の誼があってね。元々優秀な男だとは承知していたが、予想以上の働きをしてくれた。それだけに彼の裏切りは心底残念だったよ」
「うるせえ…っ親父が月虹に協力せざるを得ないよう仕向けたのはお前だろうが!」
「…!」
やはり父は、自分の意志で月虹に協力した訳ではないんだ。
だったら何故――


