いとしいこどもたちに祝福を【後編】

その言葉に、青年は俯きながら弱々しく首を振った。

「っ…それでも……あんたの家族は、此処にはいないだろっ…?風弓は…父親と一緒に四年前に死んだんだから」

「…風弓は此処に、いるじゃない」

もう一度その両頬に指先で触れると、泣き出しそうな双眸と目が合った。

「また逢えて、嬉しい」

そう告げて微笑むと、風弓は再び目を伏せて小さくごめん、と呟いた。

「俺も………ずっとずっと、逢いたかった」

それを聞いた瞬間、晴海は思わず風弓の肩に縋り付くように抱き付いていた。

「私のほうこそ…今まで何も出来なくてごめんね」

自分の知らないところで、風弓は今までどれ程苦しんできたのだろう。

それを考えると、胸が締め付けられるように痛んだ。

「――…風弓くん。確かに晴海ちゃんを危険な場所に連れてきたのは僕だ、申し訳ない。その上、勝手を言ってすまないが二人は先に春雷へ戻ってくれないかい」

「…?!」

唐突な申し出に、晴海は風弓と揃って京を見上げた。

「京さん、何を言って…!」

「漸く四年振りに再会出来たんだ。これ以上、僕に付き合う必要はないよ」

「…陸の居場所は多分、これまで以上に警備が厳重になってる筈だ。独りで向かうなんて危険過ぎるよ」

「心配してくれるのかい?君も晴海ちゃんに似て、優しいんだね」