「父さんにも報告、しなきゃ。早く起きてくれれば一番いいんだけど…」

ふと陸は一転して少し寂しげに、未だ意識を取り戻さない父を想って苦笑した。

「目を覚ましたら、物凄い勢いで喜ぶよ?多分煩すぎてお前が軽く引くくらい」

「……にいさん、わらわせないで」

そんな父の姿が容易に想像出来たのか、陸は暗かった表情を緩ませて吹き出した。

陸が笑うと、京も安堵したようににふわりと微笑む。

「報告しておいで?聞いたら飛び起きるかも知れないし」

「…うん」

「晴海ちゃんも、風弓くんや仄さんに婚約のこと伝えてくれるかい?」

「は、はいっ」

「勿論、僕と母さんも後で改めてご挨拶させて頂くけど…風弓くんには、まずは君から伝えて貰ったほうがいいと思って」

「……そう、ですね」

確かに、この場に風弓がいなくて良かった。

もし風弓が此処に居合わせていたら、収束のつかない事態に陥っていそうだ――


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