いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「晴!はる、待って!!」

陸は目の前を走る晴海の腕を、漸く捕らえて引き留めた。

「いやっ…はなしてっ!」

咄嗟に抵抗した晴海の掌が、ぱしんと陸の頬を掠める。

「ぁっ…!」

本人も図らずの行為だったらしく、叩かれた陸よりも叩いた晴海のほうがびくんと驚いた表情を浮かべた。

「ごっ…ごめん、なさい……りっくん、いたかった?」

「ううん、大丈夫」

動揺して力を緩めた晴海の身体を、陸はその隙に抱き寄せた。

「りっくんっ?」

陸の両腕に収まった晴海は、抵抗するのは止めたが不安げな顔付きのままで陸をそろりと見上げる。

その海色をした両眼には溢れんばかりの涙が滲んでいて、陸は思わず晴海の身体を強く抱き締めた。

「謝らなきゃならないのは、俺のほうだよ。晴、ごめん…ごめんな」

「なんで?」

何で――その言葉は何に架かっているのか、心当たりが多すぎて申し訳ない気持ちで一杯になる。

「晴が苦しんでるのは、俺のせいだから……俺があのときちゃんと晴の話を聞いてれば、晴にこんなつらい想いさせずに済んだのに」

「…わたし、どこもくるしくないよ?りっくんは、とってもやさしいもの。りっくんのせいじゃ…ないよ」

「晴」