いとしいこどもたちに祝福を【後編】

もしも自分が風弓の存在を感じ取れれば、それを京に伝えることが出来れば少しは役に立てるのに。

(…風弓)

四年もの間、風弓が生きていると知らずにいた自分は彼を見知った人間とは最早言い難いかも知れない。

子供の頃はずっと一緒で、互いのことなら何でも解る、自分の半身と言える存在だった。

この街の何処かにいる筈なのに、今はそれすら判らないだなんて――

(何処にいるの、風弓)

晴海はふと京のように眼を閉じて、風弓のことに意識を集中させてみた。

能力者ではない自分がそんなことをしても、何の意味もないだろうが――そもそも能力者たちが、どのように互いの気配を察知しているのかすら解らないのに。

でも、何処(いずこ)からか不思議と身近な存在の気配を感じるような気もする。

「っ…京さ、ん」

「晴海ちゃん?どうしたの…」

この曖昧な感覚をどう言葉にすれば良いか解らず、咄嗟に京の腕を掴んだ。

「え――」

京が振り向き様に声を上げた瞬間、ぱちんと静電気が起きたように空気が弾ける。

「っ!!」

京は面喰らったように眼を瞬くと、怪訝そうにこちらを見つめた。

「……其処に、風弓くんがいるのか?」

「え…?!」