「ふたご…の……おねえ、ちゃん?」

「家族の中で先に生まれた男の子をお兄ちゃん、女の子をお姉ちゃんって呼ぶんだ。双子っていうのは葵と茜みたいに一緒に生まれた子供のことだよ」

「そう、なの」

陸はもう一度、写真に写る少女の姿を覗き込んだ。

確かに風弓と似ているが、眼の色が違う。

風弓は目の前の男性と同じ青灰色の眼だが、この少女は傍らの女性と同じ碧眼をしている。

まるでこの前読んだ本に写真が載っていた、海の色みたいだと陸は思った。

「きれいなめ、してる」

「ああ。この子は母親譲りの明るい海色の眼をしてるから、晴れた日の海…晴海って名付けたんだ」

「はる、み」

「うん…だけどこの子――はるは生まれつき身体が少し弱くてね。傍にいてやれないのが一番つらいかな」

男性はそう言って、寂しげに微笑んだ。

「なんで、そばにいないの?」

「…奥さんと娘は、月虹に関わらせたくないから離れて暮らしてるんだ。ふゆと違ってはるは能力者じゃないから、尚更ね」

「そっか…」

男性が写真をしまう動作を眺めながら、陸は目を細めた。

「さて、陸。随分と前置きが長くなったけど、今朝の検診を始めようか」

「うん」