いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「…風弓くん、大丈夫かい?」

呆れ気味の京に助け起こされ、何とも居たたまれない気分に陥った風弓はかくんと項垂れた。

「う、あ…あの…すみません、色んな意味で」

「晴海ちゃんのことは陸に任せてくれるかな?どうやら弟にも、色々思うところがあるみたいだからね」

「はあ…それにしても、陸の縁談ってまさか黎明の領主令嬢とかと…?」

もし陸が他の女性と一緒にならねばいけない、なんて事態になったらどうしよう。

香也が晴海に陸と離れるよう言っていたのは、まさか晴海がそのことで悲しまないように気遣おうとしていたのか。

「当然破談だよ。陸が望まない相手との結婚なんて、絶対させやしない」

「そ…そうですか…」

話の流れからしてそんな気はしたが、それを聞いて取り敢えず安堵する。

「…やっぱり姉ちゃんは、本当に陸のことが好きなんだな…話半分だけ聞いて、あんな早とちりするなんて」

「弟としては内心複雑かい?」

「俺は……いつでも姉ちゃんの一番でいたかった。俺にとっての一番は、姉ちゃんだから。だから…姉ちゃんに俺よりも大事な奴が出来たらどうしようって思ったことはあります」

双子の片割れ相手に、そんなこと考えるなんて妙だと思われるかも知れないが、幼い頃からそう考えていた。

風弓にとって、晴海は何よりも大切な存在だから。

他人に渡すくらいなら、ずっと自分が守ってやりたいと思っていた。

でも内心、あいつなら――いや、晴海は陸でなければ駄目なんだと確信しつつある。

だから晴海は、何度忘れてしまっても陸を好きになるんだ。