「いやっ…たった今、たまたま此処に通り掛かっただけで!俺たちは全然、何も…」
嘘は言っていない、偶然通り掛かったのは事実だ。
こうなったら全力で誤魔化すしか――
「りっくんが、けっこんしちゃうってきいたよ」
「ねっ、姉ちゃん…!」
「りっくんのうそつき。わたしのそばにずっといてくれるって……わたしにおよめさんになってほしいって、いってたのにっ」
「「…え?」」
晴海の言葉に、今度は風弓と京が同時に凍り付いた。
陸だけは驚愕した様子で、眼を瞬く。
「は…る、記憶……戻ったの、か…!?」
「こないでっ!!」
恐る恐るこちらへ歩み寄る陸に、晴海は噛み付くように声を張り上げると、くるんと踵を返した。
「晴!!」
逃げるように駆け出した晴海を追って、陸が風弓の真横を瞬時に擦り抜けてゆく。
「姉ちゃんっ、陸!」
自分も後を追おうとして、風弓は足を滑らせて盛大に転倒した。
「いてっ!!」
今の自分の足はほぼ使い物にならないということを、すっかり忘れていた。
嘘は言っていない、偶然通り掛かったのは事実だ。
こうなったら全力で誤魔化すしか――
「りっくんが、けっこんしちゃうってきいたよ」
「ねっ、姉ちゃん…!」
「りっくんのうそつき。わたしのそばにずっといてくれるって……わたしにおよめさんになってほしいって、いってたのにっ」
「「…え?」」
晴海の言葉に、今度は風弓と京が同時に凍り付いた。
陸だけは驚愕した様子で、眼を瞬く。
「は…る、記憶……戻ったの、か…!?」
「こないでっ!!」
恐る恐るこちらへ歩み寄る陸に、晴海は噛み付くように声を張り上げると、くるんと踵を返した。
「晴!!」
逃げるように駆け出した晴海を追って、陸が風弓の真横を瞬時に擦り抜けてゆく。
「姉ちゃんっ、陸!」
自分も後を追おうとして、風弓は足を滑らせて盛大に転倒した。
「いてっ!!」
今の自分の足はほぼ使い物にならないということを、すっかり忘れていた。


