いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「たよりないおねえちゃんで、ごめんね」

「へ」

「だっていつもふゆちゃんのほうがしっかりしてて、おにいちゃんみたいなんだもん」

風弓は、先程仄と庭で交わしていた会話の内容を思い出してどきりとした。

「な…に、言ってんだよ。一緒に生まれたんだから、どっちが上だとかそんなの関係ないだろ」

「でも…ふゆちゃん、はるちゃんってよんでくれなくなったよ」

「俺のは……けじめだからな」

「?…なんの?」

「ん、内緒」

いじわる、と膨れる晴海はふと、大きな扉の前で足を止めた。

「……!りっくんと、りっくんのおにいちゃんのこえがする」

どうやら、ほんの少し開いていた扉の隙間から、漏れ聞こえてきた声に気付いたらしい。

「此処は…応接間か。誰か客でも来てたのかな」

聞こえてくるのは陸と京の話し声だけで、どうやら他には誰もいないようだ。

「…何の話だろ。二人とも妙に深刻そうみたいだけど」

「のぞいちゃう?」

「え…い、いいのかよ、大事な話かも知れないのに…って姉ちゃん?!」

戸惑う風弓を他所に、晴海は聞き耳を立てるようにぺたりと扉へ向かって身を寄せた。