いとしいこどもたちに祝福を【後編】

陽司の言うことは尤もだ。

しかし相手は八ヶ国の中で最も強い権力を持つ、黎明の国の領主――いくら黎明の後ろ楯なく独立している春雷の領主とて、その輝琉の直接要求を無下に断ることは難しい。

ましてや今の自分の立場は、飽くまで“父の代理”であって輝琉と対等の領主ではない。

「しかも輝琉様は京様と陸様、お二人揃っての会合を強く要望されているらしくて…」

「っ…!」

不意に名前を挙げられ、陸は予期せぬ話の流れに唖然とした。

「…俺、も?」

そんな弟を尻目に、京は激しくかぶりを振る。

「駄目だ!!」

「京様」

「…ご要望通り、会談は行うよ。その代わり陸は絶対に同席させない」

陸は少し戸惑ったように、そして少し哀しげにこちらへ視線を寄越した。

昔から父は、母や弟が政局に関与するのを忌避している。

陸がそのことに幼い頃から浅からぬ疎外感を感じていることも、もう痛い程理解している。

だが弟だっていつまでも子供ではない――今の弟なら、父の意向をきちんと話せば解ってくれるだろう。

「…ごめん、陸。事情はこの後で絶対に話す…だけど今は説明する時間がないから、此処で待っていてくれないか」

今は、余り相手を待たせる訳にはいかない。

この現状も弟は理解している筈だ。